【5月4日 AFP】軟禁されていた中国山東(Shandong)省の自宅から脱出し、北京(Beijing)の米国大使館に保護されていた盲目の人権活動家、陳光誠(Chen Guangcheng)氏(40)が3日、北京市内の病院から米議会の公聴会に直接電話をかけ、米国への渡航に力を貸してほしいと述べた。

 陳氏は自宅軟禁から脱出した後、6日間にわたって北京の米国大使館で保護されていたが、2日に大使館を出て病院に移っていた。

 陳氏の迫害に関する公聴会に出席していた在米の人権擁護団体「対華援助協会(CHINAaid)」の傅希秋(Bob Fu)代表が陳氏の声をマイクで部屋全体に流し、その言葉を通訳した。

 傅氏によると陳氏は、「しばらく静養のため米国へ行きたい」ので、「渡航の自由を保証してほしい」と述べ、「家族の命が本当に心配だ。中でも今最も気にかかっているのは母と兄の安全だ。彼らがどうなっているか、非常に知りたい」と訴えた。

 さらに傅氏は、陳氏は亡命を求めておらず、静養をしたり、あるいは治療を受けるために米国に来ることを望んでいる、と述べた。

■クリントン長官との面会も求める

 異例の事態に驚いた傍聴者や報道陣が見守る中、陳氏は同公聴会の議長を務めたクリス・スミス(Chris Smith)下院議員に「クリントン長官に会い、さらなる支援を要請したい」とも述べ、現在北京を訪問中のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)国務長官に直接面会することを求めた。

 米国務省のビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)報道官は、陳氏とその妻は3日に電話で、もはや中国にとどまる意向がないことを明確に表明したと述べた。陳氏との通話は2回、妻との通話は1回あったという。ヌーランド報道官は「さらに詳しく意向を聞き、選択肢を一緒に考える必要がある」と述べた。

 米国務省はこれまで、陳氏が政治亡命を求めたことはないという立場を貫いている。また陳氏に対し、米大使館を離れるよう圧力がかかったのではないかとの臆測も否定している。

 陳氏に関する質問を矢のように浴びたジェイ・カーニー(Jay Carney)米大統領報道官は、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領は中国との「広範な」関係性の中で引き続き人権を優先事項とするだろうとだけ述べ、この問題への詳しい言及を避けた。(c)AFP/Michael Mathes