【5月3日 AFP】自宅軟禁から脱出した中国の盲目の人権活動家、陳光誠(Chen Guangcheng)氏が3日、AFPの電話取材に応じ、命の危険を感じており海外へと脱出したいとの希望を明かした。

 陳氏は前月22日に監視下にあった山東(Shandong)省の自宅を自力で脱出した後、北京(Beijing)の米国大使館で保護されていたが、2日になって大使館を出て市内の病院に移り家族と再会。脱出時にけがをした足の治療を受けている。

 この病院からAFPの電話取材に応じた陳氏は、「海外に行きたい。米国に、私と家族を支援してもらいたい。彼らには以前にも助けられた」と語った。「ここでは身の危険を感じる。脱出したい」

 陳氏によると、当初は海外への亡命を望んでいなかったが、2日に米大使館を出た後、自分と家族の安全を考えて気持ちが変わったと話し、「米国は私を守ってくれないと感じている」とも述べた。

■米国側が退去圧力?「家族に脅迫」の情報も

 これに先立って陳氏は、現地時間3日午前3時(日本時間同4時)ごろ米CNNテレビの取材にも応じ、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領に向けて「私の家族が脱出できるよう、全力を尽くしてほしい」と懇願している。

 病院のベッドで妻に伴われた陳氏は、米大使館から退去するよう圧力を受けたと主張。「大使館は病院への人員派遣を約束し、何度も退去を促してきた。だが今日の午後に私が入院したら、皆すぐにいなくなってしまった」と述べ、大使館側の対応を非難した。

 米人権団体チャイナ・エイド(China Aid)の声明によれば、陳氏は「中国側の提案を拒否すれば『家族に危険が及ぶという中国政府による深刻な脅迫』」を受け「仕方なく米大使館を後にした」という。
 
 一方の米当局は、米中戦略・経済対話のためヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官が中国に到着した後の声明で、陳氏が大使館を離れたのは、中国側が陳氏とその家族への「人道的」扱いと安全な場所への移動を約束したためと説明している。ビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)米国務省報道官は、脅迫があったという情報を否定。ただし、仮に陳氏が大使館にとどまれば、陳氏の家族は山東省の自宅へ送還されると中国高官が言明したことは認めた。

 山東省の陳氏の自宅では度重なる虐待が行われていたとされ、陳氏はCNNに対し、同氏の脱走後、妻が警察によって2日間にわたって自宅の椅子に縛り付けられ、棒で殴り殺すと脅されていたと話している。(c)AFP

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