【4月30日 AFP】故ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐が率いるリビアの前政権が、2007年のフランス大統領選でニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)現仏大統領陣営に5000万ユーロ(約53億円)の資金援助をすることに同意していたとする文書の存在を、28日の仏左派系調査報道ウェブサイト「メディアパルト(Mediapart)」が報じた。

 これによると、当時カダフィ政権で対外情報機関のトップを務めていたムーサ・クーサ(Mussa Kussa)元外相の署名が入った2006年のアラビア語の文書で、同政権は「仏大統領選候補、ニコラ・サルコジの選挙運動を支援するという趣旨で、総額5000万ユーロ相当の援助を行うことに関して原則合意」したことについて言及している。

 同サイトは3月12日にも、フランスの武器商人がサルコジ陣営への寄付を仲介したと報じていた。この武器商人の元医師だった人物の証言に基づくとされたこの報道についてサルコジ大統領は「ばかげている」と非難している。

 実際にカダフィ政権からサルコジ陣営へ資金が渡ったのかどうかについては、同サイトは触れていない。

 28日の報道に先立ち行われた一連の世論調査では、5月6日に実施される仏大統領選の決選投票で、サルコジ大統領よりも対抗馬のフランソワ・オランド(Francois Hollande)前社会党第1書記のほうが有利だという結果が出ている。

 サルコジ陣営の広報を担当するナタリー・コシウスコモリゼ(Nathalie Kosciusko-Morizet)エコロジー・持続的開発・運輸・住宅相は28日、この報道について、ドミニク・ストロスカーン(Dominique Strauss-Kahn)前専務理事のスキャンダルから注目をそらすためにオランド陣営が仕組んだ「できの悪い作戦」にすぎないと批判した。(c)AFP