【4月12日 AFP】「長くて、緑色で、肉の臭いがするものはなんだ?」――答えはロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)首相が知っている。

 プーチン首相が11日に行った議会演説の中で出てきたこのなぞなぞは、旧ソビエト連邦時代の苦労をよく表している。プーチン首相は、旧ソ連政府のほうが現在のロシア政府よりも農業政策に長けていたという野党の共産党議員からの批判を真っ向から否定した。

「いいや、われわれ(旧ソ連)の牛肉生産システムは優れたものではなかった。これが紛れもない事実だということはあなたも知っているはずだ」と、その日で一番熱が込もった声を張り上げて演壇から反論した。

「いいですか、あなたも知らないはずはないでしょう。当時は食肉用の畜牛を育てていなかった。乳を出さなくなった乳牛を食肉にしていた。旧ソ連に乳牛はたくさんいたが、牛肉はいつも不足していたのだ」とプーチン首相は語気を強めた。

「肉の列車を覚えているでしょう。長くて、緑色で、肉の臭いがするものはなんだ?答えは、モスクワ(Moscow)の列車だ」

■肉の臭いがする列車

 このジョークは旧ソ連で長く続いた慣行を指したもの。当時ソーセージなどの食品はモスクワの店にはため込まれていたが、モスクワ以外の場所では入手困難か、入手不可能だった。

 このため地方の住民たちは給料日が来ると総出でモスクワに出向き、店の前に長い列を作って貴重品だった肉を可能な限り買い込み、帰りの列車に乗り込んでいた。

 そのため、ロシア語でエレクトリーチカと呼ばれるモスクワ近郊の列車はまるで肉屋の中にいるかのような臭いが充満していたという。

 プーチン首相は以前、旧ソ連の崩壊を世界で「最悪の地政学的大惨事」と表現したことで有名で、今まで旧ソ連の社会の仕組みを公の場で批判したことはほとんどなかった。(c)AFP