【3月14日 AFP】選挙では、性別にかかわらず声の低い候補者の方が有利だとする米科学者らの研究が、14日の学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に発表された。架空の政治家の声を聞かせて行った実験で、被験者らは一貫して低い声の候補者を選んだという。

 同様の傾向は、米元大統領らの肉声の録音を使った過去の研究でも示唆されていたが、被験者が自分の政治的信条に基づいて意思決定した可能性が排除できなかった。また、女性候補者の声では実験したことがなかった。

 今回、米デューク大学(Duke University)生物学科の研究者らが行った実験では、「11月は、私に1票を」と呼びかける音声の録音をさまざまな声調(トーン)にデジタル調節し、被験者に聞かせて、声で選ぶならどの候補者に投票するかを尋ねた。また、声に表れた「能力・適性」「信頼性」などの特徴も評価した。

 論文は「候補者選びは、印象に左右されることが多い」「声の印象は、有権者が考慮するポイントの1つとなる可能性がある」と指摘している。

 この研究結果について米マイアミ大学(University of Miami)のケーシー・クロフスタッド(Casey Klofstad)准教授(政治学)は、「男性より声が高い女性候補の当落結果に影響が出ている恐れを示唆する結果だ」「指導的立場にある女性が世界的に少ない背景に性差別があるのは確かだが、男女の生物学的な違いも要因の1つに加えられるのではないか」と述べている。(c)AFP