【2月7日 AFP】イスラエルが単独でイランの地下核施設を攻撃するのではないかという臆測が流れる中、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は6日、イランの中央銀行などに対する制裁を強化したことを明らかにした。

 同大統領が5日に大統領令に署名した制裁は、イラン政府とイラン中央銀行(Central Bank of IranCBI)をはじめとするイランの全金融機関が、米国の管轄下に持つ全ての資産を凍結する内容。これまでの制裁は、米金融機関にイランとの取引を拒否するよう求めていただけだった。

 議会に宛てた書簡でオバマ大統領は、米国と欧州のイラン制裁は前例のない苦しみをイランに与えているものの、核開発を止めさせるには不十分ではないかとの不安がイスラエル国内に広がっていると指摘し、イラン中央銀行などの金融機関が制裁で禁じられている取引を隠すため欺瞞的な行為を行っていることや、イランの不十分な資金洗浄防止態勢が国際金融システムに依然として容認できないリスクを与えていることを制裁強化の理由として挙げた。

 今回の制裁強化は、長期にわたって緊張関係が続く米イラン関係に向けて米国が出した象徴的なサインであり、具体的な金額は明らかになっていないものの、実際に凍結対象となる資産総額はあまり大きくないとみられている。

 米NBCテレビとのインタビューでオバマ大統領は、中東地域の新たな戦争の引き金となりかねないイスラエルによるイラン攻撃という決断が下されるとは思わないと述べ、臆測の沈静化を図った。(c)AFP/Stephen Collinson