【1月20日 AFP】2012年米大統領選の共和党候補指名争いで重要なサウスカロライナ(South Carolina)州予備選を2日後に控えた19日、同党の指名獲得を目指すニュート・ギングリッチ(Newt Gingrich)元下院議長の元妻が、同氏からオープンマリッジ(夫婦が互いに婚姻外の性的関係を持つことを認める結婚)を要求されたと語ったインタビューが米ABCテレビで放送され、大きな波紋を広げている。

 ギングリッチ氏は即日、そのような要求をしたことはないと強く否定し、インタビューを放映したABCテレビを非難した。しかし、21日に予備選が行われるサウスカロライナ州は倫理に厳格なキリスト教徒が多い「バイブルベルト(Bible Belt)」の一角であるため、元妻の「爆弾発言」が予備選で先頭に立つミット・ロムニー(Mitt Romney)前マサチューセッツ(Massachusetts)州知事との差を縮めたいギングリッチ氏の足を引っ張る可能性がある。

■「拘束のない結婚」を要求された

 ギングリッチ氏と18年間にわたる結婚生活を送った2番目の妻、マリアン・ギングリッチ(Marianne Gingrich)さんはこのインタビューで、「彼からオープンマリッジを求められたが、私は拒否した」と述べた。その時点でギングリッチ氏は、当時議員秘書だったカリスタ(Callista)さんと6年の間、不倫関係にあったことをマリアンさんに認めていた。カリスタさんはその後ギングリッチ氏の3番目の妻となった。

 さらにマリアンさんは、ギングリッチ氏が愛人と結婚するために妻を裏切ったことは初めてではないと述べ、マリアンさん自身もギングリッチ氏が最初の妻と結婚していたときに、愛人として不倫関係を始めたことを明かした。

 また「ワシントン(Washington)の自宅のわたしの寝室」がカリスタさんとの密会に使われていたことを知り、衝撃を受けたとも語った。「彼はいつも夜、私に電話をかけてきて、最後に『I love you』と言っていた。きっと彼女(カリスタさん)も聞いていたでしょう」

 さらに、マリアンさんが難病である多発性硬化症の診断を受けると、医師がマリアンさんに無用なストレスをかけてはいけないと言ったにもかかわらず、まもなくギングリッチ氏は離婚を申請したことも明らかにした。

■「民主党支持するメディアの攻撃」とギングリッチ氏

 19日にサウスカロライナ州ノースチャールストン(North Cahrleston)で行われた予備選直前の候補者による討論会の冒頭、ギングリッチ氏は「はっきりさせておきたい。これは作り話だ。当時の私たち夫婦を知っていた友人たちは皆、これは偽りだと言っている」と反論した。

 ABCテレビには、マリアンさんの発言が嘘であることを示す証拠を選挙運動事務局から提供したが、「彼ら(ABC)は関心を示さなかった」と非難した。

 さらに討論会の司会をしていたCNNテレビのジョン・キング(John King)氏に矛先を向け、マリアンさんのインタビューが広く取り上げられたことについて「卑劣な行為だ」とメディア全体を批判した。

 ギングリッチ氏は、民主党のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領を再選させようとする「エリート・メディアによる」共和党候補への攻撃だと述べ、「報道メディアの破壊的で悪意のあるネガティブな性質がこの国を統治することを難しくし、品行方正な人々を公職に立候補することから遠ざけている」と声を荒げた。(c)AFP