【1月6日 AFP】北朝鮮の故金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記が2008年に脳卒中で倒れた後、同総書記の主治医らが米国で研修を受けていたことが分かった。韓国医師会関係者が5日、AFPに明らかにした。

 大韓医師協会(Korean Medical AssociationKMA)顧問の李炳勲(イ・ビョンフン、Lee Byung-Hoon)氏によると、北朝鮮の国連大使が当時、米テキサス大学(University of Texas)の付属機関でヒューストン(Houston)にあるMDアンダーソンがんセンター(MD Anderson Cancer Center)に研修目的で北朝鮮人医師3人の受け入れを依頼した。センター側は米政府の了解を得たうえで医師らを受け入れた。同がんセンターの医師から李顧問が得た情報だと言う。

 北朝鮮の医師3人は、それぞれ糖尿病と心臓病、脳卒中の専門医だった。3か月間の研修を終えて3人が帰国した後、同センターはさらに9人の医師を北朝鮮から受け入れた。李顧問によると、医師らは金総書記の専任医師団で、研修費用の一部は米政府が負担していたという。

 さらに金総書記が心臓発作で死去する昨年12月17日の1か月ほど前、北朝鮮政府は心臓病に関する最新の研究資料を送るよう同がんセンターに要請。同センターも、これに応じて北朝鮮に資料を送付していたという。この事実から李顧問は、医師団が金総書記の心臓状態が悪化していたことを把握していたとみる。

 北朝鮮の国民が貧困にあえぐ一方で核開発を行い、17年間の独裁体制を維持した金総書記は、2008年8月に脳卒中で倒れているが、その以前から糖尿病も患っていたとみられる。(c)AFP