【12月10日 AFP】8、9日の両日行われた欧州連合(EU)首脳会議で、参加国首脳はユーロ圏の債務危機に対処するため財政赤字の監視を強めることで合意したが、英国だけはEU基本条約の改正に反対した。

 EU加盟27か国のうち英国を除く26か国は、ユーロ圏に瓦解(がかい)の危機をもたらした債務危機の解決を目指し、新しい財政協定への参加に前向きな姿勢を示した。しかし非ユーロ導入国の英国は、基本条約を改正して財政ルールを盛り込むという独仏が主導した動きに抵抗した。

 ヘルマン・ファンロンパウ(Herman Van Rompuy)欧州理事会常任議長(EU大統領)は、「1か国を除いて全ての国が(基本条約改正に)参加を検討している。全会一致で条約を改正できなくなったのは残念だが、以前から言っている通りわれわれは最善を尽くす」と述べた。

 ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領は、英ロンドン(London)にある欧州最大の金融街シティー(City)に歯止めをかけようとするEUの動きをデービッド・キャメロン(David Cameron)英首相が阻もうとしているのは「受け入れられない」と述べた。

 マリオ・モンティ(Mario Monti)伊首相もサルコジ大統領に同調し、「自らを締め出し」た英国は、「いくばくかの孤立」に直面することになるだろうと述べた。しかしキャメロン首相は英国にとって死活的に重要な金融セクターが守られないくらいなら「外部にいたほうがましだ」と述べた。
 
 ロンドン中心部にある広さ1平方マイル(約2.5平方キロ)ほどのシティーには、欧州全体の金融サービスの約75%が集中している。英政府は「金融取引税」を課そうという独仏の動きや、金融取引に対する新しい規制の導入に抵抗している。(c)AFP/Laurent Thomet

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