【12月2日 AFP】ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は2日、連邦議会(下院)で演説し、欧州各国はユーロ圏の債務危機に立ち向かうため、各国の予算を厳格に監視する財政統合に向かおうとしていると述べた。

メルケル首相は、「われわれは財政統合について話すだけではなく、それを実現しようとしている。少なくともユーロ圏については、厳密な規則を伴う財政統合になるだろう」と述べ、ここ数か月間に相次いだ金融市場の混乱、巨額の債務を抱えたギリシャのデフォルト(債務不履行)危機、欧州連合(EU)加盟国間の政治的対立などを経て、各国の認識が一致してきたと指摘した。

 同首相は、「数か月前に、『欧州は2011年末に非常に深刻な事態に陥り、加盟国の予算に介入する欧州財政統合という安定した統合に向かって着実に歩み始める』と言う人がいれば、その人はばかなことを言っているとしか思われなかっただろう」と語った上で、「これらは現在、議題に上っている。課題は多いものの、その重要性は広く認識されるに至った」と述べた。

 一方でメルケル首相は、ユーロ加盟国を債務危機から救う手段として欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ(Jose Manuel Barroso)委員長が先週正式に提案した「ユーロ圏共同債」の導入は否定した。

 メルケル首相は今回の演説で欧州の財政統合を目指すというドイツの方針を示した。来週ブリュッセル(Brussels)で開かれるEU首脳会議を前に、メルケル首相は5日、欧州債務危機に関して独仏がとる共通の方針についてニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領と会談する。(c)AFP