【10月20日 AFP】野田佳彦(Yoshihiko Noda)首相は19日、韓国の李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)大統領とソウル(Seoul)で会談し、日韓の通貨スワップの限度額を現行の130億ドル(約1兆円)から700億ドル(約5.4兆円)に拡充することで合意した。会談後の記者会見で李大統領が説明したところによると、世界経済の先行き懸念が深まる中、前もって金融市場の安定化を図るのが狙い。

 両首脳はまた、2004年から中断している日韓経済連携協定(EPA)について、実務者協議を強化することを確認した。

 野田首相は、1910~1945年の日本統治時代に朝鮮半島から日本に持ち出された古文書のうち5巻を持参し、韓国に返還。年内に残る1200巻も返還される予定で、首相就任後初の訪韓でよりよい両国関係が築ける雰囲気作りに努めた。韓国聨合(Yonhap)ニュースによると、李大統領は「歴史を忘れることなく未来へと向かっていくことが韓日関係の根幹だが、日本は(過去の植民地支配から生じる)諸問題に積極的に取り組む必要がある」と強調した。

 日本側高官が記者団に語ったところによれば、両首脳は1時間20分の会談中、元従軍慰安婦の賠償請求問題は議題に上らず、竹島の領有権問題についても突っ込んだ協議は行われなかった。(c)AFP