【9月27日 AFP】ナチス・ドイツ(Nazi)の総統アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)に似たイラストが描かれたキーホルダーやマグネットが台湾のコンビニチェーン「セブンイレブン(7-Eleven)」で発売され、実質的な在台湾イスラエル大使館であるイスラエル経済文化事務所(Israel Economic and Cultural Office)は26日、「ぞっとした」と述べて抗議した。

 この商品は、台北(Taipei)市内の複数のセブンイレブン店舗で販売されている。短い黒いひげで茶色のスーツを着たアドルフ・ヒトラーのようなキャラクターと、ナチスのかぎ十字のマークに似た赤と黒と白のシンボルマークが描かれている。

 台北にあるイスラエル経済文化事務所のシモナ・ハルペリン(Simona Halperin)代表は「マーケティングやプロモーションの関係者が、ナチス独裁に代表される人類史の暗黒時代が意味することを、またしても理解できなかったことを悲劇だと感じる」と述べた。

 同代表は、この画像は「無知」の結果であることを確信しており、「ナチスによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)で行われた残虐行為への支持」を意味するものではないと信じると付け加えた。

■「ひげじゃなくて歯ですよ」

 このキャラクターを作ったブロガーのマーク・リー(Mark Lee)氏は、ナチの思想を広めるような意図はないと話している。「上司たちを風刺しようという狙いでした。不満を持つ従業員たちからは、上司の多くは欲深く独裁的で、自分たちから金を吸い取ろうとする吸血鬼のように見えていますからね」(リー氏)

 また、台湾のセブンイレブンを運営する統一超商(President Chain Store Corp)の担当者も、このキャラクターにヒトラーを表現しようとする意図はないと話す。この担当者は、キャラクターの顔の真ん中についている黒い四角について触れ、「ヒトラーに似てないでしょう。ひげじゃなくて歯ですよ」と主張した。

 実質的なドイツ大使館であるドイツ在台協会(German Institute Taipei)は、「ナチスのイメージが誤って不適切な用途に使われたことを遺憾に思う」と述べた。

■ポップカルチャーに登場するナチス

 東アジアのポップカルチャーや商業アートには、ヒトラーとナチスに魅了されてきた長い歴史がある。ヒトラーは時としてアジアの広告キャンペーンに登場し、1990年代には台北市内に「ナチスバー」と呼ばれるバーが開店したこともある。7月にも、3人の地元学生が、軍主催のサマーキャンプでナチス制服を着ているところが目撃され、台北のイスラエル経済文化事務所は衝撃を受けていた。

 台湾と正式な外交関係を結ぶことを止めるよう中国が要請していることから、イスラエルやドイツは台湾に大使館を置いていない。(c)AFP