【9月20日 AFP】北朝鮮で、慢性的な食糧不足と国際的な制裁にもかかわらず、支配階級のためのぜいたく品の輸入が近年急増していると、韓国の国会議員が19日指摘した。

 韓国与党ハンナラ党(Grand National Party)の尹相現(ユン・サンヒョン、Yoon Sang-Hyun)議員は、韓国と外国の政府がまとめたとする報告書を議会会合で公開。同報告書によると、北朝鮮はぜいたく品の輸入に、2008年に2億7210万ドル(約210億円)、2009年に3億2250万ドル(約250億円)、2010年に4億4610万ドル(約340億円)を費やした。

「国際的な制裁と慢性的な食糧不足にもかかわらず、北朝鮮はぜいたく品の輸入を増やしている」と、尹議員は語った。

 国連は、北朝鮮による2度目の核実験を受けて2009年に強化された制裁の一環として、北朝鮮へのぜいたく品の輸出を禁止している。

 しかし、特に、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記(69)が2008年8月に脳卒中を患い、同国で2度目の権力移譲に向けた準備を加速させる中、ぜいたく品の輸入が急増したという。

 尹議員は、金総書記が、側近やエリートたちにぜいたく品を大量に与えて金一族への忠誠を勝ち取ろうとする「贈与政治」を行っていたと非難した。

 後継者と目される三男の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)氏は、前年9月に人民軍大将と党の要職に就任し、次期後継者としての地位を固めている。

 前年のぜいたく品の輸入では、テレビやデジタルカメラなどの電子機器が最も多く、2億1590万ドル(約170億円)に上った。また、ウイスキーなどのアルコール飲料の輸入に901万ドル(約7億円)ほどが使われた。(c)AFP