【9月18日 AFP】イタリアの検察当局は15日、同国のシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)首相に売春婦をあっせんした見返りに、仕事や契約、その他の利益を得ようとしたとして、8人を起訴したと発表した。

 イタリア南部バーリ(Bari)の検察当局が、実業家のジャンパオロ・タランティーニ(Giampaolo Tarantini)容疑者やドイツ人俳優Sabina Began氏らベルルスコーニ氏の友人や仲間のグループに対する調査を終える中、8人の起訴は行われた。

「女王蜂」のあだ名を持つBegan氏は、首相の命令に従い、売春婦や売り出し中の若手女優、天気予報キャスター候補ら多数をエロチックな夜食パーティーに集めたと広く信じられている。

 容疑者8人は、「ベルルスコーニ氏のために」売春を教唆し、かつ不当に利用した罪で起訴された。イタリアの報道によると、他にも同国宇宙・航空防衛大手フィンメカニカ(Finmeccanica)の重役など、複数の財界有力者に対する同じ罪にも問われているという。

 イタリアでは売春サービスの利用は合法であるため、17歳の少女との買春、不正、職権乱用などの罪に問われ裁判中の首相は、この件では起訴されない。

 調査は2008~09年にかけてローマ(Rome)やサルデーニャ(Sardinia)島の首相の私邸で行われたとされる乱れたパーティーに対するもの。このパーティーの詳細は、取り調べを受けた売春婦の1人、パトリツィア・ダダリオ(Patrizia D'Addario)さんが首相と過ごした夜を録音し、その文字起こしを出版したことで明らかになった。

 検察当局によると、タランティーニ被告は、少なくとも30人の若い女性をベルルスコーニ氏の邸宅へ連れて行った。その女性の多くが74歳の首相と売春をしたという。また検察当局は、被告8人が女性たちにサービスの対価を支払い、交通費を立て替え、着用する衣服や臨むべき態度、その夜の目的などを助言したとしている。

 女性たちの一部は、ベルルスコーニ氏をめぐる別のスキャンダルでも名前が挙がっている。女性たちは2010年に、ミラノ(Milan)そばの首相の別荘で開かれたパーティーに出席した。ベルルスコーニ首相は同パーティーで当時17歳だったモロッコ出身の「ハート泥棒のルビー(Ruby the Heart Stealer)」ことカリマ・エル・マフルーグ(Karima El Mahroug)さんを買春した罪で起訴されている。

 タランティーニ被告は、バーリでの取り調べの際に虚偽の供述をした見返りに、共犯者とともに首相から80万ユーロ(約8500万円)を脅し取ろうとした容疑で、9月1日、ナポリ(Naples)捜査当局に逮捕されていた。(c)AFP