【9月2日 AFP】失言の多さで知られるイタリアのシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)首相(74)が「イタリアを離れたい」と電話で愚痴をこぼしていたことが、同首相に対する脅迫事件の捜査記録から明らかになった。

 ベルルスコーニ首相は、買春疑惑で捜査対象となっているパーティーをめぐり、このパーティーに女性を手配した実業家のジャンパオロ・タランティーニ(Giampaolo Tarantini)容疑者から脅迫を受け、金銭を支払ったとされる。

■「クソ・イタリアを出ていく」

 伊ANSA通信が捜査資料の通話記録に基づく情報として伝えたところによると、ベルルスコーニ首相は、タランティーニ容疑者への金銭支払いを仲介したとされるニュースサイト編集者のバルテル・ラビトーラ(Valter Lavitola)容疑者との7月13日付けの電話で、度重なる捜査に対する不満をぶちまけ、次のように述べた。

「私は、透けて見えるほど全てにおいて清廉潔白だ。とがめ立てされるいわれなど、あるわけがない。犯罪とみなされるようなことは何もしていない。人々は私が女と寝たと言うが、それだけだろう?」

「もう知ったことか。数か月もすれば、私はどこか遠くで私だけのクソ・ビジネスに専念するんだ。吐き気を催させてくれるクソ・イタリアなんか出ていってやるのさ」

■恐喝容疑者を逮捕

 一方、捜査当局は同日、タランティーニ容疑者と妻のアンジェラ・デベヌート(Angela Devenuto)容疑者を、ベルルスコーニ首相に対する恐喝容疑でローマ市内の最高級地区ベネト通り(Via Veneto)の豪邸で逮捕した。

 首相の親族が所有する伊週刊誌パノラマ(Panorama)によると、タランティーニ容疑者はベルルスコーニ首相から頭金50万ユーロ(約5500万円)と、毎月20万ユーロ(約2200万円)を受け取っていたという。

 だが、首相自身はタランティーニ容疑者から脅迫されていたとの疑惑を否定。「深刻な経済危機に瀕した一家を助けただけ。違法性はなく、見返りなしに絶望した友人を助けただけだ。それが私という人間だ。これはずっと変わらない」と主張しているという。

 脅迫事件は2009年、ベルルスコーニ首相がローマ(Rome)の自宅で開いたパーティーで首相と関係を持ったと、売春婦のパトリツィア・ダダリオ(Patrizia D'Addario)さんが告白したことがきっかけで浮上した。

 ローマやサルデーニャ(Sardinia)島にある首相の邸宅で開かれた「セックス・パーティー」に計30人余りの若い女性を送り込んでいたと認めているタランティーニ容疑者は、調書によると、女性たちに金銭が支払われていたことについて「知らなかった」と供述する見返りに、首相から金銭を受け取っていたとされる。

 イタリアでは、売春婦と関係を持つこと自体は犯罪ではないが、強い男のイメージを強調したいベルルスコーニ首相は「女性に金を払ってセックスをしたことはない」と豪語していた。しかし、ダダリオさんが「ベルルスコーニ氏は私が売春婦であることを知っていたし、パーティーに来ていた売春婦は私だけではなかった」と告白したことから問題が広がった。(c)AFP/Dario Thuburn

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