【8月29日 AFP】インドのニューデリー(New Delhi)で汚職撲滅を訴えてハンガーストライキを実施していた社会活動家のアンナ・ハザレ(Anna Hazare)氏(74)が28日、議会が同氏の主張を検討することに同意したことから、13日におよんだハンストを終えた。

 ニューデリー中心部のラムリラ(Ramlila)広場に設けられた屋外会場でハンストを続けてきたハザレ氏のもとには毎日数万人が訪れるなど、ハザレ氏の主張を支持する運動は全国規模に拡大し、政府の姿勢が世論から乖離(かいり)していた実態があらわになっていた。

 ハンストを終えたハザレ氏は、2人の少女から手渡されたコップに入った蜂蜜入りのココナツの汁をすすり、全国テレビで生放送された演説に臨んだ。

 演説でハザレ氏が、「デリーの議会は人民の力に屈した。だが、われわれの闘いはここでは終わらない」と語ると、聴衆から喝采が湧きあがった。

 ハザレ氏は、憲法の枠組みの範囲内でこの国に変化をもたらしたいとの抱負を述べた。また、「いかなる形の暴力にも頼ることなくこのような大規模な民衆運動が起きたのは、自尊心の問題だ」と付け加え、「われわれは世界に、平和に抗議運動を行う手段を教えたのだ」と語った。

 演説を終えたハザレ氏は健康診断と体調回復のため、病院に搬送された。

 74歳と高齢ながら高温多湿の気候のなかでハンストを続け、体重を7.5キロも減らしたハザレ氏だが、健康状態は良好のようだ。ハザレ氏はハンストの間も水は摂取しており、夜間から朝まではステージを降りて休憩をとっていた。

 インド議会は27日、現在立法が進められている反汚職法案の対象に州および中央政府の官僚も含めることと、透明性を推進するための新たな市民憲章に基本的に合意した。

 ハザレ氏のハンストは、結婚証明書の発行から病院での治療の際まで賄賂を要求されてきた多くのインド国民の心に深く鬱積(うっせき)した感情に入り込み、マンモハン・シン(Manmohan Singh)首相は対応に苦慮してきた。

 ハンスト中、会場にはハザレ氏を称える企業人や地方労働者、学生が集まり、ステージ上に体を横たえたハザレ氏は、スピーカーを使って聴衆を鼓舞する演説を繰り返していた。(c)AFP/Abhaya Srivastava