【8月19日 AFP】1991年に旧ソビエト連邦で、ミハイル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)大統領が主導した「ペレストロイカ」(改革)に反対するソ連共産党の守旧派がクーデターを起こしてから、19日で20年が経つ。ロシア国民の間ではソ連崩壊を悔やむ声も聞かれる。

 当時副大統領だったゲンナジー・ヤナーエフ(Gennady Yanayev)はじめ「8人組」と呼ばれる保守派の高官たちがクーデターを起こしたのは1991年8月19日。しかし、このクーデターは国民の抵抗に遭い、文字通り「三日天下」で終わる。

 改革の阻止を目指す勢力によるクーデターだったが、逆効果となってソ連に最後の一撃を与え、ソ連は同年12月、ついに崩壊した。ゴルバチョフは国民の信頼を回復することなく、ボリス・エリツィン(Boris Yeltsin)が新生ロシアの指導者として浮上した。

 ロシアのリベラル派は、クーデター・グループが設置した国家非常事態委員会(GKChP)に対する民衆の抵抗を民主化の成果だと語るが、今週、独立系調査機関レバダ・センター(Levada Centre)が行った世論調査の結果は異なり、「クーデター未遂は民主化の勝利」と考える人は回答者の10%にすぎなかった。また「クーデター後、ロシアは誤った方向へ進んだ」と考える人は49%で、「正しい方向へ進んだ」と考える27%を大きく上回った。

 改革の旗を振ったゴルバチョフ氏は今週、現在のロシアは退行していると批判した。ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)現首相とドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領が、クーデター未遂20周年をどのように迎えるかは定かでない。リベラル派の小規模な集会はあるだろうが、20年前、クーデターに抵抗するためにモスクワのロシア連邦政府庁舎を取り囲んだ群衆の数には遠く及ばないだろう。

 当時のソ連がそうだったように、ロシアもまた今、大きな問題に直面している。人口は減り、労働生産性は恒常的に低く、経済は依然、資源輸出に頼り、そうした中で旧ソ連諸国から移民は押し寄せている。

 評論家のアンドレイ・リアボフ(Andrei Ryabov)氏はオンラインメディア「gazeta.ru」への寄稿でこう述べている。「(旧ソ連諸国の)どこも、実効性ある民主主義と市場経済をもった現代社会を築くことに成功していない。歳月が経ち、そうした努力について触れることは、旧ソ連諸国の支配層エリートのおかしな儀式になってしまっている」(c)AFP/Stuart Williams

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