【7月26日 AFP】米国のデフォルト(債務不履行)が懸念される中、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は25日夜、ホワイトハウス(White House)から米国民向けのテレビ演説を行い、債務上限引き上げをめぐる与野党間の交渉で歩み寄りがなければ「深刻な経済危機が起きるリスクがある」との懸念を示した上で、野党・共和党に譲歩をするよう圧力をかけて欲しいと国民に訴えた。

 与野党間の交渉は行き詰っている。オバマ政権と与党・民主党は、連邦政府の債務上限14兆3000億ドル(約1120兆円)の引き上げを求めているが、共和党側は、富裕層や大企業の納税額を増やさずに大幅な歳出削減を行うことに政府・与党が同意しなければ、債務上限の引き上げを認めないと拒んでいる。

 逆にオバマ大統領は、共和党が提案している2回に分けて債務上限を引き上げる案については、「根本的な問題は解決されず、6か月後にデフォルトの危機が繰り返されかねない」と拒絶している。演説でオバマ大統領は共和党案について、「地球上で最も偉大な国がやることではない。今までにわれわれがやったことがない危険なゲームで、しかもこれだけ多くの雇用と家族の生活がかかっている今はそんなゲームをしている余裕はない」と述べた。

 一方、共和党のジョン・ベイナー(John Boehner)下院議長も大統領の後にテレビ演説し、「残り時間は少ない。共和党の常識的な提案を大統領が拒否するのは無責任で、デフォルトの危険を高める」と大統領を批判した。

 現地時間午後9時(日本時間26日午前10時)から行われたオバマ大統領の演説は、国民向け演説として就任後わずか7回目。前回の国民向け演説は6月、アフガニスタンからの米軍撤退計画を発表した時だった。(c)AFP/Olivier Knox