【7月20日 AFP】中国を代表する新聞の1つが、高い評価を受けてきた調査報道部門を閉鎖した。同紙編集者が19日明らかにした。中国当局による反体制的な政治運動や報道への大がかりな弾圧の犠牲になったとみられる。

 中国共産党の脅威とされた情報を根絶するための検閲制度が敷かれるなか、中国ではこの数年、ジャーナリズムが力をつけてきていたところだった。今回の突然の発表に、中国の権力監視を行うべきジャーナリズムの未来への懸念が広がっている。

 中国経済時報(China Economic Times)で編集長のアシスタントを務めるXie Baokang氏は、AFPの取材に、ベテラン記者、王克勤(Wang Keqin)氏率いる同紙の調査班が「解体された」と語った。

「記者たちは社に残り、仕事をしているが、部署を変えられた」とBaokang氏は述べた。理由についてたずねると、同氏はコメントを拒否した。

 中国経済時報は政府下の機関が運営する新聞だが、政治的に許されるラインを押し上げて中国を代表する調査報道の新聞となった。

■粗悪ワクチンによる被害も暴く

 昨年、中国北部の山西(Shanxi)省で子どもたちが粗悪ワクチン接種後に深刻な症状を起こした問題を取り上げた王氏の記事は、中国全土で大きな反響を巻き起こした。その記事の発表後すぐ、王氏を強力に支持していた同紙編集長のBao Yueyang氏が解雇されている。

 AFPが王氏に電話で取材を申し込むと、「何も言えないんだ。切るよ」とだけ言って電話を切った。王氏はほんの数週間前にブログで、中国の権力監視ジャーナリズムの将来について明るい見通しを示したばかりだった。

 香港(Hong Kong)を拠点とし、中国国内の調査報道についての書籍を共同執筆したDavid Bandurski氏は、経済時報の部門解体について、懸念を示す。「王氏は中国で傑出した調査記者であり、1990年代半ばからの潮流全体の象徴的人物でもある」と、Bandurski氏は語った。(c)AFP/Marianne Barriaux