【7月15日 AFP】在米ミャンマー大使館の高官2人が、7月に入り相次いで米国に亡命を求め、前年の民政化で「進歩」を国際社会に印象づけたいミャンマー政府を揺るがしている。

 4日に亡命を求めた大使館ナンバー2に当たるチョー・ウィン(Kyaw Win)首席公使(59)は、AFPとのインタビューで、祖国の変化を待つことにうんざりしたと語り、ミャンマーの民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)さんに対する敬意を口にした。

 今週にはナンバー4のソー・アウン(Soe Aung)氏も米国への亡命を希望した。複数の情報筋によると、同氏はチョー・ウィン首席公使の亡命に対する調査の一環で、自宅までミャンマー当局関係者に随伴されそうになり、亡命を決意したという。

■形式的な民政移行、状況はかえって悪化

 ミャンマーは前年11月に総選挙を実施し、形の上では軍事政権から民政に移行したが、野党指導者らや欧米諸国は、表面的な変化に過ぎないと捉えている。

 チョー・ウィン首席公使も、こうした見方に同意した。「選挙によって変化がもたらされると我々は言っていた。しかし、選挙からもう半年が過ぎたのに、状況は選挙前よりも悪化さえしている」

「わたしの子どもたちはもう成人になっているが、彼らは以前からミャンマー政府は変わらないと主張していて、我々は長年、議論を繰り返してきた。それでも、わたしは自分で体制内から変革できると信じていた。しかし30年が経過した今、外から我が国を変えるべきだと思う。ここワシントンは、圧力をかけるのに適した場所だ」

 ブラジル、インド、スイスなどで外交官を務めてきたチョー・ウィン氏は、ミャンマーへ帰国して引退する間際だった。

 同氏はまた、「人民の信頼を得ている指導者は、アウン・サン・スー・チー氏だけだと思う」とも述べたが、スー・チーさんが率いる国民民主連盟(National League for DemocracyNLD)の指導力については疑問を呈した。NLDは、前年の総選挙の際に新設された政党登録法が不公正だとして政党登録しなかったため、公式には解党されている。

 チョー・ウィン氏は、軍が政権を掌握した1962年以前には、ミャンマーはアジアの中でも最も繁栄する国の1つだったことを多くの国民が思い返していると述べ、「数日では変化しない。時間がかかることはみんな分かっている。しかし、正しい方向へ向かわなくてはならない」と語った。(c)AFP/Shaun Tandon