【6月24日 AFP】米国は23日、南シナ海(South China Sea)での領有権問題をめぐって中国との緊張が高まっているフィリピンに対し、軍装備の最新化に向けた物資支援を行うと表明した。

 ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官と会談したフィリピンのアルベルト・デルロサリオ(Albert del Rosario)外相は、会談後の共同記者会見で「わが国は小国だが、裏庭で発生するいかなる攻撃的な行為に対しても、必要とあらば立ち向かう準備ができている」と発言。老朽化が進むフィリピン海軍装備の最新化と同盟関係の強化を米国に要請した。

 一方、要請された支援の詳細について問われたクリントン国務長官は、フィリピンの防衛支援に熱心に取り組む決意だと答え、「最近の南シナ海での出来事が地域の平和と安定を損なうのではないかと懸念している」と述べて、全ての当事国に自制を求めた。

 戦略的に重要な海域にあるうえ豊富な海底資源が見込まれる南シナ海では、ここ数週間、中国が領有権の係争海域で示威的な行為を繰り返し、フィリピンやベトナムとの間で緊張が高まっている。

 フィリピンはすでに問題の海域で海軍艦船による巡回を行うと発表。また、米国は来週フィリピン海軍との合同軍事演習を実施するほか、7月には米海軍艦がベトナムに寄航する予定だ。米政府高官は毎年恒例のスケジュールだと説明している。

 中国は、南シナ海で武力行使はしないと主張するとともに、米国に対しては領有権問題に干渉しないよう警告している。(c)AFP/Lachlan Carmichael and Shaun Tandon

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