【6月13日 AFP】南シナ海(South China Sea)での領有権をめぐって中国との緊張が高まっているベトナムは13日、問題となっている海域の近くで海軍の実弾演習を開始した。

 ベトナム中部ダナン(Danang)の基地にいる海軍将校によると、演習が行われるのは係争地となっている南沙(スプラトリー、ベトナム名チュオンサ)諸島(Spratly Islands)から約1000キロ、西沙(パラセル、ベトナム名ホアンサ)諸島(Paracel Islands)からは約250キロのホンオン(Hon Ong)島周辺で、ベトナムが主張する排他的経済水域(EEZ)内。

 南沙諸島と西沙諸島付近には海底油田があり、中国とベトナムの双方が領有権を主張している。ベトナム政府は前月、中国の監視船がベトナムの探査船のケーブルを切断したとして中国を非難。9日にも、別の探査船のケーブルに中国漁船が衝突したのは「計画的な妨害」だと、重ねて中国を批判した。

 これに対し中国政府は、問題の海域で中国の主権侵害にあたる全ての行為をやめるようベトナムに求め、二国間の緊張はここ数年で最も高まっている。

 首都ハノイ(Hanoi)やホーチミン(Ho Chi Minh)では前週に続いて12日、中国に抗議し、両諸島の領有権を主張するデモが行われた。社会主義体制のベトナムでデモが行われるのは極めて異例のことだ。

 南沙諸島をめぐっては、フィリピンやマレーシア、ブルネイ、台湾も一部の島々の領有権を主張し、中国と対立している。 (c)AFP

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