【5月22日 AFP】19日のイスラエルの日刊紙イディオト・アハロノト(Yediot Aharonot)は、2006年に当時ロシア大統領だったウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)現首相が、イランの核開発計画に対する妨害を指示していたことを示す内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」の文書を掲載した。

 同紙が掲載した流出文書は現時点では、同紙やウィキリークスのウェブサイト上には発表されていないが、報道によるとイスラエル原子力安全委員会のトップ、ギデオン・フランク(Gideon Frank)氏と、米国のリチャード・ジョーンズ(Richard Jones)駐イスラエル大使(当時)の間で2006年2月に交わされた会話が記されている。内容はフランク氏が「ロシアの治安機関や情報畑の高官たちと秘密会合をもった結果に関する詳細な報告」だという。

 フランク氏が会ったロシア高官とは、セルゲイ・イワノフ(Sergei Ivanov)国防相(当時)、セルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相、セルゲイ・キリエンコ(Sergei Kiriyenko)露原子力庁長官(当時)だったとされる。フランク氏はロシア側から、当時進行中だったイランのブシェール(Bushehr)原発の建設を遅らせる措置を、プーチン氏が個人的に命令していたと明かされたことを、ジョーンズ大使に伝えたという。

 ロシアは1995年にイランと締結した核協力協定で、ブシェール原発の完成を請け負い、また使用済み核燃料をロシアへ引き渡すことと引き替えにイランへ核燃料を提供することに合意していた。

 しかしイディオト紙の報道によると、フランク氏はキリエンコ氏から「ロシアはブシェールへ核燃料棒を送るプロセスをかなり遅らせるつもりで、また現段階では“新鮮な”(使用前の)核燃料を送るつもりはない」と聞かされ、さらに「意図的に核燃料の供給を遅らせることについて、ロシア政府は“技術的原因”による遅れだと説明するつもり」で、それは「プーチン大統領個人による命令だ」と伝えられたという。

 さらにロシア高官たちはイスラエル側に、「ブシェール原発に送る予定の設備には、イランの核計画をいっそう遅らせるよう改変を加えてある」とも明かしたという。

 ロシアはイランの核開発計画の長年のパートナーだが、2010年6月の国連決議ではイランに対する制裁に賛成している。

 イスラエルや国際社会の大部分は、イランが原子力の民生利用だと主張している核計画の水面下で、核兵器開発を進めている可能性を懸念している。(c)AFP

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