【4月26日 AFP】オーストラリアのクリス・ボーウェン(Chris Bowen)移民・市民権相は26日、亡命希望者の収容施設で暴動が相次いだことを受け、亡命希望者に対する性格検査の厳格化などを内容とする移民法改正案を議会に上程する方針を示した。

 改正案では、収容施設にいる間に違法行為を犯した亡命希望者は、入国査証(ビザ)取得の際に求められる性格検査で自動的に不合格になるという。

 3月、豪州本土から2600キロ離れたインド洋上のクリスマス島(Christmas Island)にある入国者収容所で暴動が発生したのに続き、前週にはシドニー(Sydney)西部にあるビラウッド入国者収容所(Villawood Detention Centre)でも被収容者約100人が、施設の建物9棟に放火するなどした。警察は数十人を事情聴取したが、これまでに何らかの罪に問われた人はいない。

 ボーウェン移民相はこうした状況の下、改正移民法の性格検査に関わる規定は遡及的に適用する方針を示した。つまり最近の暴動に関与した亡命希望者が違法行為を行ったとみなされると、強制送還されたり、権利が制限された短期ビザしか取得できなくなったりする可能性がある。

 ボーウェン移民相は「改正移民法が成立しても、帰国すれば危険にさらされるような真の難民を強制送還するようなことはしない。豪州が国際的な責任を放棄することはない」と強調した。

 改正案の規定では、本国へ送還されれば身の危険があると思われる亡命希望者でも短期ビザしか取得できず、しかも本国の状況が改善したとみなされればその短期ビザも取り消される可能性がある。現行法では、亡命申請を却下できるのは、亡命希望者が禁錮1年以上の有罪判決を受けたことがある場合か顕著な犯罪歴を持つ場合に限られている。

 難民支援団体や緑の党(Australian Greens)は政府の動きについて、亡命希望者が未成年であっても、太平洋上の島々にあった鉄条網のフェンスで囲われた収容所に長期間にわたって収容していた時代に戻るものだと批判している。(c)AFP

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