【4月7日 AFP】イスラエルの国内治安機関シャバク(別名シンベト、Shin Beth)や対外特務機関モサド(Mossad)の元長官、元軍参謀長など国防畑の重鎮ら50人を超えるグループが6日、エルサレム(Jerusalem)に首都を置くパレスチナ国家の樹立を提唱する和平案を発表した。

 AFPが入手した骨子によると、この和平案はイスラエル、パレスチナ双方の合意で土地を引き換えた上で1967年の停戦ライン内にパレスチナ国家を建設し、エルサレムを分断して双方の首都を置くことを提案しており、アラブ連盟(Arab League )が2002年に採択したアラブ和平提案を踏襲している。採択当時、イスラエル政府は同提案について「問題点を含んでいる」としながらも「建設的だ」と評価したが、公式見解は示していなかった。

 この採択から9年、今回の和平案「イスラエル和平イニシアチブ(Israel Peace Inititative)」をまとめたグループを代表して会見した元シンベト長官ヤコブ・ペリ(Yaakov Peri)氏は、包括的和平案への回答を「イスラエルはこれ以上、先延ばしにできない」と語った。

 新和平案には50人を超える著名な人物が署名しており、ペリ氏を始め、アムノン・リプキン・シャハク(Amnon Lipkin-Shahak)元軍参謀長やアミ・アヤロン(Ami Ayalon)元シンベト長官、ダニー・ヤトム(Danny Yatom)元モサド長官らといった国防関係者が多く名を連ねている。また、クリーンエネルギー業界の起業家でイスラエル最大の持ち株会社経営者のイダン・オファー(Idan Ofer)氏や、1995年にイスラエル人過激派に暗殺された故イツハク・ラビン(Yitzhak Rabin)首相の息子、ユバル・ラビン(Yuval Rabin)氏なども加わっている。

 この新案も、これまで発表されてきた数々の私的提案と同様、パレスチナ難民の問題については、補償金による解決とパレスチナ新国家への帰還による解決を目指し、イスラエル領への帰還は「象徴的」な数にとどめることを提案している。また、イスラエルにゴラン高原(Golan Heights)からの完全撤退を提言している。
 
 労働党の元閣僚モシェ・シャハル(Moshe Shahal)氏は、パレスチナ政策のせいでイスラエルは国際舞台において確実に足場を失いつつあると述べ、「時間はない。わが国は和平を拒絶しているとみなされているばかりか、合意も一切しない者たちだと思われつつある」と語った。(c)AFP