【4月4日 AFP】中国を代表する現代芸術家で、北京五輪のメーンスタジアムの設計にも携わったアイ・ウェイウェイ(艾未未、Ai Weiwei)氏が3日、北京(Beijing)の空港で当局に身柄を拘束されたと、同氏の助手がツイッター(Twitter)で明らかにした。

 それによると、アイ氏は香港(Hong Kong)行きの航空機に搭乗しようとしたところ、税関職員に身柄を拘束された。その後、警察が北京・草場地(Caochangdi)芸術区にある同氏のアトリエを捜索し、スタッフ8人を取り調べのため連行したほか、アイ氏の妻の路青(Lu Qing)さんは自宅で警察の監視下に置かれたという。

 中国では今年2月、中東や北アフリカでの反政府行動に触発され、インターネットで日曜日ごとの抗議行動を呼びかける動きが活発化し、中国当局はここ数週間、反体制活動家や人権家らの取り締まりを強めていた。自宅軟禁や、警察によって身柄を拘束され行方が分からなくなっている人も多い。

 こうしたなか、アイ氏は3月29日、中国国内で作品を展示する際の規制の多さに嫌気が差したとして、ドイツに作品を展示するアトリエを作る計画を表明。デザインと制作の拠点は引き続き北京に置くとしながらも、「ここ(中国)で起きていることには本当にがっかりしている。制作を続けるためには、拠点を見つけなければならない」と語っていた。

 アイは、鳥の巣(Bird's Nest)の愛称で知られる2008年北京五輪のメーンスタジアム、北京国家体育場(Beijing National Stadium)のデザインにも携わった中国でも指折りの芸術家だが、率直な物言いで知られ、たびたび中国共産党の批判を展開している。

 1月には、上海(Shanghai)に新設したアトリエが当局に取り壊される事件が起きているが、これは市の政策を批判したことへの報復とみられる。また前年12月には、中国の民主活動家、劉暁波(Liu Xiaobo)氏のノーベル平和賞授賞式に出席するためノルウェー・オスロ(Oslo)に向かおうとした際に出国を阻止されている。(c)AFP