【3月25日 AFP】財政再建に向けて政府が提案した追加緊縮策を議会に否決され、ジョゼ・ソクラテス(Jose Socrates)首相が23日に辞任したポルトガルは、政治的危機へ突入している。

 ポルトガル議会に政府が提出した財政緊縮策に対して、全野党が反対票を投じた。議会の過半数に満たない少数与党社会党のソクラテス首相は、支持なくしては政権運営は不可能として辞任した。同政府が財政緊縮策を提出したのは1年で4回目。今回の案は、500億ユーロ(約5兆7000億円)とも見積もられる緊急財政援助を必要とする事態を回避して、債務返済義務の履行を支えようとするもので、同じユーロ圏内のギリシャやアイルランドが前年講じた緊縮策と似たものだった。

 ソクラテス首相辞任を受け、アニバル・カバコシルバ(Anibal Cavaco Silva)大統領が連立政権を作ることも可能だが、それよりもありうるシナリオは、大統領が議会を解散し、総選挙へ向かうほうだ。その場合、選挙は55日以降に行われるため、その間、社会党が権限を制限される形で暫定政府を運営することになるかもしれない。

 イタリア銀大手ウニクレディト(UniCredit)のエコノミスト、トゥリア・ブッコ(Tullia Bucco)氏は、早期に行われる公算が高い選挙までの期間、予想される政情不安はポルトガルのソブリン債の信用を弱め、対外援助要請へと向かわせる圧力がかかるだろうと述べた。

 17か国よるユーロ圏財務相会合(ユーログループ、Eurogroup)の議長を務めるルクセンブルクのジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)首相兼国庫相は23日、財政援助を要請するかどうかはポルトガル次第だが、もしも援助が出動される場合には「非常に厳格な条件」が課されるだろうと語った。言い換えれば、いかなる援助であってもそれと引き換えにポルトガルには、厳格な緊縮財政策が適用されることを意味する。(c)AFP/Daniel Silva