【3月4日 AFP】軍拡が懸念されている中国の2011年国防費は、前年比12.7%増の6011億元(約7兆5000億円)になることが、5日開幕する全国人民代表大会(National People's Congress、全人代、国会に相当)に提出される予算報告書で明らかになった。

 かつて外相も歴任した全人代の李肇星(Li Zhaoxing)報道官は記者会見で「中国は常に国防費抑制に注意を払っている」と述べ、中国の国家予算の6%を占める国防費は、世界的に見れば「比較的低い」との見方を示した。

 中国の国防予算の伸びは、2010年には対前年比7.5%と10%を下回ったが、わずか1年で2桁の伸びに復帰した。中国人民解放軍(People's Liberation ArmyPLA)の活動には不透明な部分も多いが、軍備の近代化は純粋に防衛的なものだとしている。李報道官も4日の会見で軍の近代化が他国に脅威を与えることはないと述べた。

 米国のシンクタンク、国際評価戦略センター(International Assessment and Strategy CenterIASC)のリチャード・フィッシャー(Rick Richard Fisher)氏は、中国指導部は軍事費の増額によって航空機や空母、核兵器を搭載した潜水艦などの調達を遅滞なく進め、米国、台湾、そして日本やインドなどの近隣諸国に軍事力を誇示する必要があると指摘した。(c)AFP