【3月1日 AFP】コートジボワールで28日、大統領選で敗れた後も大統領職を辞さないローラン・バグボ(Laurent Gbagbo)氏支持派の部隊が、同国の武器禁輸違反を調査していた国連チームに発砲した。

 国連(UN)筋によると、国連のコートジボワール制裁委員会の専門家たちと国連平和維持部隊の幹部1人が、首都ヤムスクロ(Yamoussoukro)の空港で武器禁輸違反について調査していたところ、バグボ氏を支持するグループに銃撃され、撤収を余儀なくされたという。報告によると負傷者はいなかった。

 前年11月28日に行われたコートジボワールの大統領選の結果、国際社会は元首相のアルサン・ワタラ(Alassane Ouattara)氏を新大統領と認めているが、バグボ氏は権限移譲を拒否している。

■ベラルーシが攻撃ヘリ輸出か

 そんな中、国連安全保障理事会が決めたコートジボワールへの武器禁輸制裁措置を破ってベラルーシから攻撃ヘリコプター3機などがバグボ氏派に送られたとして、潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)国連事務総長が批判している。

 潘事務総長は、コートジボワールは内戦へ逆行しかねないと懸念を表明し、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領もワシントンで行われた会合で同様の発言をした。

 潘事務総長によると、コートジボワールへは27日にベラルーシからヘリコプター1機が届き、残る2機も28日に到着するとみられていた。ベラルーシからコートジボワールへの武器禁輸違反の報告について、潘事務総長は安保理での協議を呼びかけた。

 同理事会のコートジボワール専門家パネルはニューヨーク(New York)で協議し、コートジボワールに派遣されている国連ミッションに武器輸出の事実を確認できるような詳しい情報を提供するよう要請した。

■国連職員が一時誘拐される
 
 発砲と同時刻、やはりバグボ氏支持派の若者がアビジャン(Abidjan)市内でウクライナ国籍の国連職員2人を誘拐し、事態はいっそう緊迫したが、数時間後に2人の身柄はバグボ氏直属の治安部隊に移り、その後国連に引き渡された。

 一方、ベラルーシは外務省が「安保理による制裁を破ったことなどない」と発表するなど、禁輸違反を否認している。またバグボ氏の広報担当者も、国連の主張は「バグボ大統領の政府に対する攻撃を正当化する詭弁(きべん)だ」と反論している。

バグボ氏派とワタラ氏派の衝突が増える中、コートジボワール情勢はこのところ日に日に緊迫の度を強めている。現在同国では1万500人を超える要員が国連の平和維持活動を行っており、その一部はワタラ氏陣営の本部を警護している。司令官によると、国連ミッションに対するバグボ氏派の敵意は高まっており、前週末には国連ミッション要員3人がバグボ氏派に撃たれ、負傷している。

 コートジボワール大統領選の結果については、アフリカ連合(African Union)の調停パネルもまもなく独自の裁定を下すものと見込まれている。(c)AFP/Carlos Hamann