【2月25日 AFP】米陸軍が米上院議員などの要人を対象に、アフガニスタンでの戦費や人員の増強を支持させるため違法な心理作戦を実施していたという衝撃的な記事が、24日の米音楽誌ローリング・ストーン(Rolling Stone、RS)に掲載された。

 アフガニスタン軍の訓練を担当するウィリアム・コールドウェル(William Caldwell)陸軍中将の司令部から、アフガニスタンを訪問した米上下両院議員や外国高官などを対象に心理作戦を実施するよう繰り返し命じられたと、同中将の部下で「Information Operations(情報作戦、IO)」と呼ばれる専門チームを率いて心理作戦を実行したマイケル・ホームズ(Michael Holmes)陸軍中佐が同誌に明かしたという。

■「どうすれば議員を操れるか」

 IOメンバーの証言と内部文書によれば、4か月にわたった作戦の対象には、2008年の大統領選候補ジョン・マケイン(John McCain)上院議員や、上院軍事委員会(Senate Armed Services Committee)のカール・レビン(Carl Levin)委員長、ジョゼフ・リーバーマン(Joseph Lieberman)上院議員、ジャック・リード(Jack Reed)上院議員などが含まれていた。

 また、マイケル・マレン(Michael Mullen)米統合参謀本部議長、ドイツ内相、チェコの駐アフガニスタン大使なども対象となったという。レビン、リード両上院議員は心理作戦の影響を受けたことはないとしている。

 コールドウェル中将の司令部はホームズ中佐に、どうすれば米議員たちを中将の思い通りに操れるか尋ねてきたという。

 ホームズ中佐は、「IOにおける私の任務は、我々が望む通りに敵が行動するよう、彼らの頭の中を操ることだ。味方を対象にすることは禁じられている。議員を対象にするのは、一線を越えている」とRS誌に証言した。作戦を中断しようとしたところ、ホームズ中佐に対する嫌がらせが始まったという。

 この記事についてコールドウェル中将の報道官は、RS誌に送った声明で、疑惑を全面的に否定している。

■米軍は調査へ

 記事を受けて米国防総省は、アフガニスタン駐留米軍のデービッド・ペトレアス(David Petraeus)司令官がこの件について「調査を命じる準備をしており、不適切性や違法性があれば措置を取る」と発表した。ロバート・ゲーツ(Robert Gates)国防長官もこの問題を「認識」しており、調査の実施を支持しているという。

 米国民を対象に心理作戦を行うことは米法律で禁じられている。

 RS誌が米軍のスキャンダルを記事にしたのは今回が初めてではない。2010年には、アフガニスタン駐留米軍のスタンリー・マクリスタル(Stanley McChrystal)司令官(当時)が政府高官を批判したという記事を掲載し、マクリスタル司令官は解任された。この記事も今回と同じく、マイケル・ヘイスティングズ(Michael Hastings)氏が執筆した。(c)AFP/Michael Mathes

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