【2月23日 AFP】韓国紙、朝鮮日報(Chosun Ilbo)は23日、北朝鮮消息筋の話として、北朝鮮で停電や食料不足に怒った住民たちによるデモが起きていたと伝えた。

 朝鮮日報によると、デモがあったのは金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の誕生日から2日前の14日のことで、平安北道(North Pyongan province)の定州(Jongju)、竜川(Yongchon)、宣川(Sonchon)で住民たちが「もう生きていけない。明かりをよこせ!米をよこせ!」などと叫んで行進した。

 情報筋によると、抗議の声をあげていたのは当初は1~2人だったが、次々と家から外に出てきた住民が加わり集団となった。後に国家安全保衛部が調査に乗り出したが、住民たちは沈黙を守っているという。

 ただでさえわずかな定州や竜川への電力供給が、金総書記の誕生日の祝賀行事のために平壌(Pyongyang)にまわされたことから、住民の怒りが爆発したとみられる。さらに、北朝鮮では1990年代以降、慢性的な食料不足が続いており、米価格が急騰していることも背景となっている。

 だが、厳しい統制が敷かれる北朝鮮で公にデモが行われることは極めてまれで、2009年に通貨切り下げが導入された際に騒乱発生が報じられた程度だ。

 北朝鮮情勢の専門家は、今回のデモが中東や北アフリカで発生しているような大規模な反体制行動に発展する可能性はないとみている。(c)AFP

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