【2月1日 AFP】北朝鮮の内情をうかがい知るのは専門家にとっても容易ではないが、「毛皮の帽子」が金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記から後継者とされる三男、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)氏への権力移譲過程を判断する鍵になるかもしれない。

 北朝鮮の国営メディアは1月23日、平壌(Pyongyang)の美術工房、万寿台創作社(Mansudae Art Studio)を視察する金親子の写真を配信したが、この写真で正恩氏は、父親の金総書記と同じ毛皮の帽子をかぶっていた。

 1月29日の韓国紙・朝鮮日報(Chosun Ilbo)がある脱北者の話として伝えたところによると、この帽子は金総書記専用に海外に発注してつくらせた最高級のオーダーメード品で、金総書記以外は使用しないことが暗黙のルールとなっているという。こうした事実から、この脱北者は、「正恩氏が同じ帽子をかぶっているということは、恩氏が現在は金総書記と同等の地位にあることを示す」との考えを示した。

 似たような帽子を着用している北朝鮮高官もいるが、これらは低品質の既製品だという。

 一方、韓国統一省の李種珠(イ・ジョンジュ、Lee Jong-Joo)報道官は1月31日、北朝鮮では正恩氏の「偶像化」プロセスが進行しているが、毛皮の帽子が正恩氏の力が強くなった証拠だと断定する決め手にはならないと述べた。(c)AFP