【1月22日 AFP】まるで過去から呼び覚まされた亡霊のように、突如帰国したハイチの元独裁者、ジャンクロード・デュバリエ(Jean-Claude Duvalier)元大統領(59)は21日、自らの15年間の独裁体制下での犠牲者たちへの謝罪を述べ、ハイチの国民和解のために帰国したと語った。

 16日に突如帰国したデュバリエ元大統領は、帰国後初の公式声明で「この困難なときに、自らの連帯を示すためにここに来た」と語り、また「わたしの政権の犠牲者となった人びとに対する深い後悔の念を表明したい」と付け加えた。

 ベビードックと呼ばれた元独裁者は、記者団でいっぱいになった会見室で、弱々しい声でハイチの「国民和解」を呼び掛け、「政治的危機に対する迅速な解決」を望むと語った。演説の大部分はフランス語で、時折クレオール語の単語が混ぜられた。

 デュバリエ元大統領は、「わたしが1986年に、殺りくを食い止め、政治的危機を迅速に解決するためにハイチから自発的に出国した後、この国に取り残されたわたしの支持者数百万人へのシンパシー」を捧げたいと述べた。

 さらに、独裁政権下で「多数の人びとが卑劣に暗殺され、尋問され、処刑され、略奪され、根こそぎ奪われ、拷問された」ことを認識していると述べ、「わたしの政権下の被害者だったと、正当なる主張をする同胞の国民たちに対する、深い後悔の念を再度述べたい」と語った。

 しかし、デュバリエ元大統領の圧政を覚えている人は多く、帰国の理由についてなど依然として不明な点が多い中で、元大統領の突然の帰国を受けた緊張は弱まる様子がない。

 ハイチ国民の多くは、デュバリエ氏が現在の政治的混乱に乗じて権力を再び掌握するつもりだと懸念している。デュバリエ氏はこれまでのところ、なんらかの政治ポストに就く可能性を排除していない。(c)AFP/Edouard Guihaire

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