【1月13日 AFP】レバノンで12日、2005年に起きた元首相暗殺事件の国連(UN)調査をめぐる対立から、イスラム教シーア(Shiite)派組織ヒズボラ(Hezbollah)などの閣僚11人が一斉に辞職し、サード・ハリリ(Saad Hariri)首相率いる連立政権が崩壊した。

 ジュブラン・バシル(Gebran Bassil)エネルギー水資源相は記者会見で、ハリリ首相の父ラフィク・ハリリ(Rafiq Hariri)元首相暗殺事件の真相究明のために国連が設置したレバノン特別法廷(Special Tribunal for Lebanon)をめぐるハリリ首相との長期にわたる対立が原因で、10人の閣僚が辞職したと発表した。

 さらに、ミシェル・スレイマン(Michel Sleiman)大統領に近い閣僚1人も辞職したことから、全閣僚30人の3分の2を割り込み、ハリリ政権は崩壊した。

 イランとシリアの支援を受けるヒズボラは、レバノン特別法廷は米国とイスラエルによる謀略だとして、欧米諸国の支援を受けるハリリ首相に対しこの数か月間、同法廷を認めないよう圧力をかけていた。報道された未確認情報によると、同法廷は故ハリリ首相暗殺事件に関連してヒズボラ幹部を起訴する構えで、ヒズボラはこれに猛反発している。

 ハリリ首相の側近であるムハンマド・ラハール(Mohammad Rahhal)環境相はAFPに対し、ヒズボラ閣僚の辞任は、国家機能を麻痺させ、ハリリ首相にレバノン特別法廷の拒否させることが狙いだと批判した。

 憲法規定によると今後、スレイマン大統領が議会と協議の上、新たな首相を任命し、組閣を行う。首相は常にスンニ派であり、最も人気の高いスンニ派指導者はハリリ現首相であることから、ハリリ氏が再任命される可能性が強いが、受諾するかどうかが疑問視される。(c)AFP/Mohamad Ali Harissi