【12月31日 AFP】大統領選後も混乱が続くコートジボワールで、選挙の結果を無視して大統領職に居座り続けるローラン・バグボ(Laurent Gbagbo)氏側の政府幹部が29日、元首相のアルサン・ワタラ(Alassane Ouattara)氏が拠点としているホテルを攻撃するよう同国の若者に呼びかけた。

 国連や国際社会が正式な大統領選の勝者と認めるワタラ氏は、バグボ氏が大統領府を明け渡さないため、コートジボワールの主要都市アビジャン(Abidjan)の海岸沿いにあるゴルフホテル(Golf Hotel)に「影の内閣」を置いている。国連(UN)の平和維持活動(PKO)部隊がこのホテルを警備している。

 こうしたなかバグボ氏が青少年相に指名したシャルル・ブレ・グデ(Charles Ble Goude)氏は29日、「1月1日、わたしとコートジボワールの若者たちが、この手でゴルフホテルを解放する」と宣言し、バグボ氏の支持者らから喝采を浴びた。

 ブレ・グデ氏は、「若き愛国者(Young Patriot)」と呼ばれる武装青年組織の主導者で、「ストリート・ジェネラル(街の総長)」の異名をもつ。ホテル攻撃の呼びかけは、国連PKO部隊の幹部が、バグボ氏が国営メディアを通じてPKO部隊に対する憎悪をあおっていると批判したことや、西アフリカ諸国の首脳らが平和的解決を求めたことなどに対抗した措置とみられる。

 一方、国連の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は30日、ブレ・グデ氏の呼びかけはコートジボワールでの内戦再燃を招きかねないとして「深刻な懸念」を表明。万一、ホテルが攻撃を受けた場合、国連部隊は自衛措置に加え、ホテル敷地内にいるワタラ氏やワタラ氏側の政府職員、民間人らを守るためにあらゆる手段を辞さないと警告した。

 また、国連のフランシス・デン(Francis Deng)ジェノサイドおよび大量殺りく担当特別代表は米ニューヨーク(New York)で、「アビジャン市内で、反バグボ氏派の住民の自宅に民族を識別するための印が付けられているとの報告があり、重大な懸念を持っている」と述べた。(c)AFP/Dave Clark