【12月29日 AFP】西アフリカ諸国経済共同体(Economic Community of West African StatesECOWAS)の特使としてコートジボワールを訪問した西アフリカ3か国の大統領は28日、前月の大統領選の結果を無視して大統領職に居座り続けているローラン・バグボ(Laurent Gbagbo)氏と会談し、退陣しなければ武力介入もありうるとの最後通告をつきつけた。

 コートジボワールの主要都市アビジャン(Abidjan)を訪れたベナンのボニ・ヤイ(Boni Yayi)大統領、シエラレオネのアーネスト・コロマ(Ernest Koroma)大統領、カボベルデのペドロ・ピレス(Pedro Pires)大統領の3人は、バグボ氏との会談後、国連(UN)などが正式な当選者として支持するアルサン・ワタラ(Alassane Ouattara)元首相が拠点としているホテルに移動し、ワタラ氏と3時間にわたり非公開の会談を行った。国連平和維持部隊が移動する3大統領を護衛した。

 その後、再びバグボ氏が居座る大統領府に向かった3大統領は、バグボ氏にワタラ氏との会談内容を簡潔に伝え、ECOWAS本部があるナイジェリアに向かった。そこで、ECOWAS議長のグッドラック・ジョナサン(Goodluck Jonathan)ナイジェリア大統領に、会談の成果を報告する予定だ。

■軍事介入の可能性も

 ECOWAS議長国のナイジェリアは、西アフリカ諸国のなかで最大の経済・軍事力を持っている。ECOWASがコートジボワール情勢に介入する場合、バグボ氏を退任させるための軍事力をナイジェリアが提供することになるとみられる。

 外交レベルでの解決努力が続く一方、アビジャン市内の情勢は一層、緊張が高まっている。国連によれば、大統領選結果をめぐる暴動などによる11月の死者は173人を超えたと推定されている。

 最近も、治安維持にあたっている国連の平和維持軍兵士22人が乗った車両3台がバグボ陣営派の地域を通行中、群集に襲われるという事件がおきている。

■リベリアへの避難民、1万9120人に

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、前月28日に行われた大統領選の決選投票以降、隣国リベリアに逃れた難民は1万9120人に達した。このうち約5000人は25日以後にリベリアに避難した人たちだ。

 こうしたなかでバグボ氏側は旧宗主国フランスに対し、一連の動きは米国と共謀してワタラ氏を大統領にしようとするものだと主張し、フランスがバグボ氏を大統領と認めないならば、在仏大使館を閉鎖し国交断絶も辞さないと強気の姿勢を崩していない。

 だが、すでにフランス政府はすでに事実上バグボ氏との関係を断っており、他国とともにワタラ氏を承認している。また、ワタラ氏の支持者がパリ(Paris)のコートジボワール大使館での業務を引き継ぐことも認めている。(c)AFP/Dave Clark