【11月29日 AFP】米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)、英紙ガーディアン(Guardian)、仏紙ルモンド(Le Monde)は28日、内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」が入手した米外交公電の掲載を決めた理由や、一部の情報を公表しなかった理由を明らかにした。

 ニューヨーク・タイムズ紙は「ほかの資料にはできないかたちで、米国外交の目的、成功、妥協、いらだちなどに光を当てている」と評価。「(掲載は)公益に資する」と述べた。ガーディアン紙は、入手した公電の大半はすでに米政府のイントラネット上に掲載され、「非常に幅広い」人々が目にしていたため、機密性は高くなかったと指摘した。

 またルモンド紙は、「資料を精査してジャーナリスティックな分析を行い、読者に提供すること」が同紙の役割だと表明。情報提供は責任を伴うとして、「透明性と判断は相いれないものではない。そこがウィキリークスとわれわれの戦略の違いだ」とした。

■情報提供者の氏名などは非公表に

 一方で、ニューヨーク・タイムズ紙は「(米政府に)秘密裏に協力した情報提供者を危険にさらしたり、国家の安全を脅かすような情報は(掲載対象から)除外するよう注意を払った」としている。ガーディアン紙とルモンド紙も、公電の内容に独自の編集を加えたことを明らかにした。

 独ニュース週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel)とスペイン紙パイス(El Pais)も、米在外公館が国務省に送った外交公電など25万点の機密文書を入手した。ルモンド紙によると、上記5社は協力して、公表されれば危険にさらされる恐れがある人物の名前を編集したという。

■事前に米政府の意見も求める

 また、ニューヨーク・タイムズ紙は、掲載を予定した文書を「米当局者に送り、政府の立場から見て掲載されれば国益を損なうものがあるならば、それを主張する」機会を提供したが、政府側の主張の「一部には同意したが、すべてを受け入れたわけではない」としている。(c)AFP/Chris Lefkow