【11月21日 AFP】絶滅の危機に瀕している野生のトラの生息数を2022年までに倍増させることを目指す初の国際会議が21日、ロシアのサンクトペテルブルク(Saint Petersburg)で始まる。各国の指導者が参加して特定の種の保護に特化した会議が行われるのは初めてとみられる。

 会議には動物好きを公言するロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)首相をはじめ、バングラデシュ、ブータン、カンボジア、中国、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、タイ、ベトナムの13か国の代表が参加する。24日までの日程で、13か国にまたがる12か年の保護計画の費用分担などを協議する。

 1960年代に80~100頭だったトラが今では500頭前後になったロシアは、トラの生息数が増えた唯一の国。専門家はプーチン首相の積極的な取り組みを評価している。

 トラは漢方薬の原料などとして取引されているが、生息地と加工国、消費国が異なるため、保護には国際的な協力が不可欠だと世界の野生動物取引を監視しているNGO、「トラフィック・インターナショナル(Traffic International)」のサブリ・ザイン(Sabri Zain)氏は指摘する。

 世界のトラの半数が生息するインドや、漢方薬などとして世界で最も大量にトラを消費している中国の役割は他国に比べ非常に大きいが、世界自然保護基金(World Wide Fund for NatureWWF)のアレクセイ・バイスマン(Alexei Vaisman)氏は「当局が数千年前からの伝統と戦うのは容易ではない」と対策の難しさを認めている。(c)AFP/Olga Nedbayeva