【10月29日 AFP】米政府が2007~09年の3年間にアフガニスタン復興支援に割り当てた180億ドル(約1兆4500億円)近くについて、省庁間の情報共有の欠如から使途が「迷宮」入りしてしまい明確にしきれない部分があると、同復興支援を監査する特別監督官が指摘した。

 米政府のアフガニスタン復興担当特別監察官 (Special Inspector General for Afghanistan ReconstructionSIGAR)によると、3年の間に政府は7000近い請負企業や事業体に総額177億ドル(約1兆4275億円)相当の事業を発注した。しかし国防総省、国務省、米国際開発局は支出額についてきちんと回答できなかった。

 28日にAFPが入手したSIGARの報告書によれば、今回監査したのは07~09年度分だけだが、「各省庁から入手できる07年以前のデータは粗末すぎて分析できない」ため、米国がアフガニスタン復興支援を開始した02年まで問題はさかのぼるだろうという。

 また復興支援開始後、数年が経った今も、さまざまな省庁がからむ事業を政府が一括監視するデータベースがない点も指摘した。今回の報告書が、アフガニスタン復興事業のさまざまな契約について初めて俯瞰したものといえる。アーノルド・フィールズ(Arnold Fields)特別監察官は、「本報告書以前には、請負業者やかれらを通じた米政府の支出に関して包括的な調査は存在していなかった」と述べている。

 アフガニスタン、特に治安情勢の悪い南部および東部で米国が主導する反政府勢力の鎮圧において、自治体の機能強化や農業支援といった復興事業は重要な柱となっている。

 報告書はヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)国務長官、ロバート・ゲーツ(Robert Gates)国防長官、カール・アイケンベリー(Karl Eikenberry)駐アフガニスタン米大使に提出された。指摘について記者に質問されたフィリップ・クローリー(Philip Crowley)米国務次官補(広報担当)は、「これまでにも調査してきたことなので驚くことではない。これからも、こうした報告書で欠陥を指摘していく」と述べた。

 SIGARによると、報告書によって「政府の事業発注の入り組んだ『迷宮』を追跡するのは困難である」ことが示されている。例えば、国防総省内には同省予算による発注事業を監視する機構が4つもあるのに、互いの間に情報共有はない。ましてや各省庁間の情報共有は最小限度でしかないとSIGARは述べている。(c)AFP