【10月26日 AFP】北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の専属料理人だった藤本健二(Kenji Fujimoto)氏が25日、韓国・ソウル(Seoul)市内で記者会見し、三男の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)氏が権力の座についても北朝鮮は世界から孤立したままだろうとの見方を示した。

 また、正恩氏は後継者としての地位固めに5年間、自身で意思決定し実行できるまでに10年間は要すると語った。

 藤本氏によると、正恩氏は子ども時代から二人の兄、正男(ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏や正哲(ジョンチョル、Kim Jong-Chul)氏よりも金総書記に気に入られていた。このため、藤本氏は以前から後継者は正恩氏となるだろうと予測していたという。

 また次男、正哲氏と正恩氏の間に後継争いは存在せず、「正哲氏は正恩氏をサポートしていくだろう」と述べた。

■正男氏の世襲批判の真意は

 一方、長男の正男氏は12日にテレビ朝日(TV Asahi)が放映したインタビューで、正恩氏への権力世襲に否定的な考えを示しているが、これについて藤本氏は「非常に驚いた」と述べ、正男氏の身に危険がおよびかねない発言だと懸念した。正男氏は、同じインタビューで「必要であれば海外からでも正恩氏を支援する用意はある」とも語っている。

 一方、北朝鮮向けの韓国ラジオ「開かれた北韓(北朝鮮)放送」の河泰慶(ハ・テギョン、Ha Tae-Keung)代表は同じ記者会見で、インタビューでの正男氏の発言は事前に練られたものだとの見方を示した。

「比較的リベラルな考えを持つ正男氏が、改革・開放路線を導入すべきだとのメッセージを北朝鮮指導部に送りたかったのだろう」(河代表)

 また、正恩氏については、北朝鮮市民の多くが朝鮮労働党のイデオロギーを強化する形で政界入りを果たしたことに失望を感じており、次期指導者として市民から信頼を得ることに失敗したため、金総書記の死後の北朝鮮は、しばらく不安定な期間が続くだろうとの見方を示した。(c)AFP

【関連記事】金正男氏、「3代世襲には反対」