【10月23日 AFP】内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」は22日、イラク戦争における民間人死者数やイラク治安当局による拷問、イランの関与などを示す米軍機密情報約40万ページ分を公開した。史上最大規模の軍事機密漏えいだ。

 公開されたのは現地からの報告書で、米軍による2003年のイラク侵攻後、2004~09年の5年間に及ぶ期間のもの。機密扱いされた文書の多くでは、イラクの治安部隊による虐待が多数報告され、またほかの文書では、イラク政府が容認していたこれらの虐待を、米軍が野放しにしていたことが示されていた。

 ウィキリークスは、以前にもアフガニスタンでの米軍の作戦に関する同様の機密報告書約9万2000点を公開しており、米国の「戦争犯罪」を非難している。

 機密文書は英紙ガーディアン(Guardian)、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)、仏紙ルモンド(Le Monde)、独週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel)に数週間前に提供されたという。また公開直前には、ウィキリークスが選んだ一部のジャーナリストにマイクロブログ「ツイッター(Twitter)」でメッセージを送り、3時間の限定閲覧を提供していた。

 ガーディアン紙によると、機密文書は「イラクの警官や軍兵士が組織的に虐待や拷問、性的暴行、殺害などを行い、通常は処罰も受けておらず、しかも米軍は多数の報告を受けていたにもかかわらず、こうした状況について調査を行わなかった」ことを示していた。

 また「英米当局は、民間人死者の公式記録は存在しないと主張してきた」が、機密文書によると「民間人1万5000人以上がこれまで知られていなかった事件で死亡」しており、「全体で10万9000人とされる死者のうち、6万6081人が非戦闘員だった」という。

 さらに、被拘束者への虐待が医学的な根拠とともに「大量に」報告されており、「被拘束者らが手足を縛られ、目隠しをされ、手首または足首で吊されて、むち打ちや殴打、蹴りつけられるなどし、あるいは電気ショックを加えられていた」。そのうち「6件の報告書では、被拘束者が死亡」していた。

 また、イランが民兵を訓練し、駐イラク米軍および連合軍やイラク政府関係者への攻撃を計画していることも示されていた。駐留米軍がイラン国境沿いで、おそらくイラン政府が米兵を殺害や拉致するために用意した民兵と銃撃戦となったことも報告されている。ガーディアン紙などの引用部分によると、イランの軍事エリート組織である革命防衛隊(Islamic Revolutionary Guard)が重要な役割を担っている可能性が疑われる。

 ガーディアン紙は、この機密文書を提供した人物について、アフガニスタンでの機密報告書を今年流出した人物と同じ「米軍の情報アナリスト」だとみている。ウィキリークスは情報源については明らかにしていない。(c)AFP