【9月30日 AFP】米下院は29日、日米間での国際結婚が破綻した場合に日本人の親が子どもを無断で日本に連れ帰る事例を「拉致」と非難し、国際的な親権問題に対処するハーグ条約(1980 Hague Convention)の批准など善処を求める決議を、ほぼ全会一致で採択した。

 米下院416議員中、棄権15、反対1の圧倒的多数で採択された決議は、日米の両親間で生まれた子どもを「(日本に)拉致し、不当に留めること」を非難し、問題の解決にすみやかに対処するよう求めている。また、米国人の親の承諾なしに日本へ連れ帰られた子どもが136人に上ると言及している。

 米国人の親権を求める運動家たちは、いずれかの時点で子どもへの接触を日本側に拒否されたことのある外国人の親は数千人に上るとも非難している。

 1980年のハーグ条約は、国際結婚で生まれた子どもが通常居住する国から不法に連れ去られた場合、元の居住国へ速やかに戻す措置を加盟国に義務付けているが、先進国中で日本は唯一、この条約を批准していない。日本の裁判例では外国人、特に父親が外国人の場合は親権を認めたことがほとんどない。

 条約批准に関し日本国内の反対派からは、日本の伝統的価値観に反するといった主張や、外国人の夫の虐待から日本人の妻が逃れてきた場合、妻に対する保護が取り払われてしまうといった懸念が上がってきた。

 しかし8月、日本では政府が将来的にハーグ条約批准を「前向きに検討したい」という意向を示したと報道された。

 29日の米下院決議で唯一、反対したのは、他国の内政問題への干渉だと自分がみなす法案については反対することが多い共和党のロン・ポール(Ron Paul)議員(テキサス州選出)だった。(c)AFP

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