【9月25日 AFP】沖縄・尖閣諸島(Senkaku Islands、中国名:釣魚島)沖で海上保安庁の巡視船と中国のトロール漁船が衝突した事件で処分保留のまま釈放された漁船のセン其雄(Zhan Qixiong)船長(41)は25日未明、石垣島を出発し、その数時間後に中国南部の福建(Fujian)省に到着した。中国国営の新華社(Xinhua)通信が報じた。

 中国外務省は、「釣魚島およびそれに付随する島々は中国固有の領土」で、「日本による中国漁船と漁民の拘束と調査、あらゆる形式の司法措置は不法で無効」であり、「日本はこの事件に関して、謝罪と賠償をしなければならない」などとする声明を発表した。

 訪米中の菅直人(Naoto Kan)首相は24日午後(日本時間25日朝)、ニューヨーク(New York)で記者会見し、船長の釈放は「国内法に基づいて粛々と判断した結果だ」と述べるとともに、今後の日中関係について「戦略的互恵関係を深めるため冷静に双方が努力していくことが必要だ」との見解を示した。

 日本の新聞各紙は、船長の釈放は、日本政府が外交的圧力に屈したという印象を与えたと報じている。読売新聞(Yomiuri Shimbun)は、尖閣諸島沖で違法操業する中国漁船に対する日本の海上保安庁の威信が傷つけられたおそれがある、と報じた。

 一方、フィリップ・クローリー(Philip Crowley)米国務次官補(広報担当)は、「日本は正しい決定をした。事態が解決したことに満足している」と述べ、船長解放により当該地域の緊張は大幅に緩和されるだろうとの見通しを示した。(c)AFP