【8月17日 AFP】米国防総省は16日、中国の軍事動向に関する年次報告書を発表し、中国が展開能力の範囲を台湾海峡(Taiwan Strait)を越えて米領グアム(Guam)島にまで拡大しようとしているとの懸念を示した。

 報告書は、中国が核兵器や長距離弾道ミサイル、潜水艦、空母からサイバー戦争の分野まで多岐にわたって軍備増強をはかっていると指摘。また、台湾で親中派の馬英九(Ma Ying-jeou)総統が就任した2008年以降、政治と経済の面で中台が接近したにもかかわらず、台湾海峡有事を想定した中国の軍拡の勢いは衰えていないと報告した。

 さらに、台湾海峡にとどまらず、太平洋の米空母を攻撃できる長距離ミサイルの開発計画に着手していると報告し、中国がアジア太平洋の広い地域で各種の軍事作戦を遂行する能力を獲得し、東アジアの軍事的均衡が崩れる可能性があると指摘した。

 これまで中国の軍事政策は、琉球諸島からベトナム東沖の南シナ海(South China Sea)を攻撃の対象範囲としてきたが、この範囲を日本本土の大部分とフィリピン、さらにグアムにまで拡大しようとしているという。

 日本やベトナムなど、中国との間に未解決の領有権問題を抱えるアジア諸国は少なくない。最近でも米国とベトナムの海軍が南シナ海で軍事交流を行い、中国との間に緊張が高まった。こうしたことから、報告書は中国海軍が南シナ海でのパトロールを強化する可能性があると指摘している。

 中国の情報公開については、若干改善されたものの、全体としては依然として透明性に欠けるとした。(c)AFP/Shaun Tandon