【7月16日 AFP】北朝鮮政府が、金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の三男で次期後継者とみられている金ジョンウン(Kim Jong-Un)氏の「生家」を建築中だと、韓国紙・朝鮮日報(Chosun Ilbo)が16日報じた。ジョンウン氏に対する個人崇拝を確立する狙いがあるとみられる。

 東京を拠点とする北朝鮮民主化を求める団体「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク(Rescue North Korean People Urgent Action NetworkRENK)」の李英和(イ・ヨンファ、Lee Young-Hwa)代表が同紙に語ったところによると、当局はジョンウン氏の出生地とされる場所を聖地化しようとしているという。

■建国の祖ゆかりの地に「第1の故郷」

 李氏によると、北朝鮮当局は今月になってから、昨年夏から中断していた平壌(Pyongyang)中心部と東部の江東(Kangdong)郡を結ぶ鉄道線路の工事を再開した。江東郡には、神話上の建国の祖とされる檀君(Tangun)の埋葬地「檀君陵」があるほか、金総書記の祖父の像も建っているという。

「北朝鮮はジョンウン氏の1つめの故郷は江東で、2つめの故郷は元山(Wonsan)だと主張しているが、実際ジョンウン氏が江東で生まれたかどうかはわからない」と李代表は語った。

 ソウルを拠点とする、脱北者が運営するインターネット新聞「デーリーNK(Daily NK)」は5月に、江東のジョンウン氏の生家を神聖な場所とするため、住民らが移動させられたと報じていた。

■「9月後継発表」への準備か

 金総書記は1994年、父である故金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)国家主席の後を継ぎ、社会主義国家としては世界で初となる世襲で政権の座に就いた。2人の生誕地はどちらも神聖な場所とされている。

 複数の専門家らは、9月に開催される「党最高指導機関選挙のための党代表者会」で、金総書記の後継者にジョンウン氏が指名される可能性が高いとみている。韓国の国家情報院は、金総書記の健康状態が悪いため、息子への引き継ぎの準備を急いでいるとみている。(c)AFP