【5月20日 AFP】年内に総選挙を控えるオーストラリアの最大野党・自由党のトニー・アボット(Tony Abbott)党首が18日、「わたしは政治家だ。信用するな」と発言し、政界で物議を醸している。

 豪ABCテレビの人気キャスター、ケリー・オブライエン(Kerry O'Brien)氏から新税導入はしないと約束した1か月後に発言を翻したことを詰め寄られたアボット氏は、「議論が白熱すると落ち着いて思慮深く準備した原稿のある発言より、多少言い過ぎることもあるだろう。絶対的真実のようにとらえる必要があるのは、慎重に準備された原稿のある発言だけだ」と開き直りとも聞こえる発言をした。

 与党は世論調査で人気の高いアボット氏を攻撃する格好の材料ととらえ、指導者としての資質に疑問を投げかけた。

 ABCラジオに答えたリンゼー・ターナー(Lindsay Tanner)予算・規制緩和相は発言を皮肉り、「商品のパッケージの底を見たら小さな字で『どうぞこの商品をご使用ください。ただしあなたを殺す危険性があります』と書いてあるようなものだ」と語った。

 率直な物言いが自分の長所だと公言しているアボット党首は、今回も国民に対して「正直」でいようとしているだけだと語った。

 カトリック司祭になる教育を受けた経歴もあることから「マッドモンク(狂った僧侶)」ともあだ名され、荒唐無稽な発言が多いという評判を裏切らないアボット氏だが、なかなか揺るぐことのなかった与党・労働党への支持を減らすことでは成功している。政治的には右寄りで、派手な人柄の「フィットネスおたく」としても知られる。(c)AFP/Talek Harris