【5月10日 AFP】パレスチナ自治政府とイスラエルは9日、米国が仲介する間接的な形で和平交渉を再開した。だが、開始からわずか数時間で双方の亀裂があらわになった。

 交渉再開に向け、数か月にわたり双方の間を行き来する「シャトル外交」を重ねてきた米国は、「信頼関係をひどく損なう」行為をした場合は責任をとるよう双方に警告し、交渉の再開を宣言した。

 危うい状況を象徴するかのように、米国が発表した信頼醸成措置に関する声明をめぐり、すでに波紋が広がっている。

 米国務省のフィリップ・クローリー(Philip Crowley)次官補(広報担当)は「交渉の成功に寄与する雰囲気づくりのため、双方がそれぞれ尽力してくれた。(パレスチナ自治政府のマフムード)アッバス(Mahmud Abbas)議長はいかなる扇動行為にも反対すると表明し、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は(東エルサレムの)ラマト・ショロモ(Ramat Shlomo)での住宅地建設は2年間はないとしている」と述べた。

 これに対しイスラエル当局者は、ネタニヤフ首相は米政府に対し、通常の住宅建設計画では着工までに数年かかるというプロセスを説明しただけで、(凍結については)何の約束もしていないと即座に否定した。

 間接交渉は当初、3月に始まる予定だったが、イスラエル側がラマト・ショロモでの住宅1600戸の建設計画を発表したことを受け、パレスチナ側が交渉に応じない意向を示した。

 パレスチナ側はイスラエルが交渉を台無しにしようとしていると非難。アッバス議長の側近Nimr Hammad氏はAFPに対し、「イスラエルの声明は、米政府を辱めるためか挑発するためのものだ」と語った。

 交渉再開後、いったん帰国したジョージ・ミッチェル(George Mitchell)米中東和平担当特使は来週、同地域に戻る予定だが、直接交渉の再開の可能性を除き、具体的な進展はほとんど期待されていない。(c)AFP/Gavin Rabinowitz