【5月5日 AFP】米国のロバート・ゲーツ(Robert Gates)国防長官は3日、米海軍の退役軍人らの集会で演説し、公海での米国の軍事的優勢が新兵器によって脅かされていると述べ、経費のかかる空母や潜水艦に依存する海軍力のあり方に疑問を呈した。

 ロバーツ長官は世界的に展開する米海軍が、対艦ミサイルやステルス潜水艦といった新兵器に攻撃される可能性に触れ、米軍の空母や潜水艦は危険にさらされていると述べた。

 長官は06年にイスラエル軍を対艦ミサイルで攻撃したレバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラ(Hezbollah)や、「周辺海域で米軍の軍事力に対抗すべく」設計されているイランのミサイルや機雷、高速艇などを例に挙げ、追跡がより困難な高性能潜水艦などの新型水中兵器によって、米海軍が西太平洋で行動の自由を享受した、過去60年の大半にわたった時代が終わる恐れもあると指摘した。

 ゲーツ長官が注意を喚起しているのは、膨大な資金をつぎ込んでいる米艦隊が、そうした新時代の兵器に対抗するものとしてそぐわなくなることだ。米海軍の攻撃型潜水艦隊や水上艦隊の規模は他国を大きくしのいでおり、戦略的展望が変化する中でこれまで同様の配備に多額を投じることが賢明かどうかと疑問を投げかけた。「他国が複数の艦隊をもっていない状況下で、わが国はこれからの30年間もこれまで同様、本当に11もの空母打撃群を抱えておく必要があるのだろうか」

 また空母や世界各地の基地への依存度を縮小するために、無人機や無人水中艇、現在よりも小型の潜水艦などを使用してより長距離を狙う攻撃方法を開発する必要があるとも述べた。

 冷戦時代に端を発する巨額の軍事計画の縮小にゲーツ長官は消極的ではない。このところ国防費を従来型の兵器から、イランやアフガニスタンで必要とされているヘリコプターや無人機の拡充に振り向けて「現実的な」脅威に対応すべきだと主張してきた。(c)AFP/Dan De Luce