【4月19日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は前年の就任直後から日本を重視する姿勢を示した。オバマ政権がホワイトハウス(White House)に招いた最初の外国首脳は当時の日本の首相だったし、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)国務長官は最初の外遊先に、このアジアの同盟国を選んだ。

 わずか1年でなんという変わりようだろうか。

 核安全保障サミット出席のため前週ワシントンD.C.(Washington D.C.)を訪問した鳩山由紀夫(Yukio Hatoyama)首相がオバマ大統領と顔を合わせたのは晩さん会の10分間だけ。それも他の首脳が会議の前に食事を楽しんでいる間のことだ。

 外交筋によると、この会談のほとんどは、鳩山首相が米軍普天間飛行場(Marine Corps Air Station FutenmaMCAS Futenma)の移設問題について、まだ決断を下そうとしている最中だとオバマ大統領に伝えることに費やされたという。

■募る米側のいらだち

 表向き米当局者は鳩山首相のアイデアを検討したいと語っているが、個人的に話を聞くと、日本が普天間移設問題で具体的な提案を何一つ持ってこないといらだちを示す人が多い。

 半世紀の歴史を持つ日米同盟を支持する人でさえ、日米の緊張が目に見えて高まっていると警鐘を鳴らしている。核安全保障は日本にとって関心が深い問題であるうえに、オバマ大統領が中国の胡錦濤(Hu Jintao)国家主席ら13人の首脳と個別に会談したにもかかわらず日米が首脳会談をセッティングできなかったのは「本当にショックだった」と、米日財団(United States-Japan Foundation)のジョージ・パッカード(George Packard)理事長は語る。

 米上院外交委員会のジム・ウェッブ(Jim Webb)アジア太平洋問題小委員長(バージニア(Virginia)州選出・民主党)は、台頭する中国に注目が集まるのは理解できるが、「日米関係は産児制限のようなものだ。適切な注意を怠ると、事故が起きる可能性が高まる」というたとえ話を出して、日米同盟の重要性を強調し続ける必要があると指摘した。

 米シンクタンク、マンスフィールド財団(Mansfield Foundation)で日本を研究するウェストン・コニシ(Weston Konishi)氏は、米側が普天間移設問題を十分丁寧に扱ってこなかった面もある一方、鳩山政権もむやみに「自己疎外化」していると話す。

■「日米同盟は永遠ではない」

「米当局者は日本では物事が氷河の流れのようにゆっくりと進むのは理解しているので、政権交代後の新政権に多少の猶予を与えた。しかし、東京が発するシグナルには一貫性がなく互いに矛盾するようなものもあり、米側はいらだっている。大統領と一部の政策立案者はもう日本を見限っている。日本のすべてがだめだというわけではないが、これまでのところ重要な世界的問題についての東京のリーダーシップは混乱している」(コニシ氏)

 鳩山首相は日米同盟は日本の安全保障の根幹だと主張してきた。しかし、駐日米国大使特別補佐官も務めたパッカード氏は、戦勝国と被占領国の間で結ばれた条約に基づく日米同盟が未来永劫(えいごう)変わらずに続くと考えるのは現実的ではないと話す。

 日本人の中には、犯罪を犯した容疑がある米軍人を日本側に引き渡す義務はないと定めた米日米地位協定(Status of Forces Agreement)を「19世紀のアジアにおける欧米諸国の治外法権の延長」(パッカード氏)と考える人もいるという。

「冷戦(Cold War)を知らない日本の若い世代が、国内に外国軍が駐留することに疑問を深めていくのはごく自然なことだ。米国は韓国、ドイツ、フィリピンで軍事的なプレゼンスを縮小してきた。新しい世代の日本人が(米軍駐留を)受け入れないようになりつつあるのは驚くべき事ではない」(パッカード氏)

(c)AFP/Shaun Tandon