【4月7日 AFP】米国のオバマ政権は6日、核兵器の使用を「極限状況」に限定し、また非核保有国を核攻撃しないことなどを明記した核戦略報告書「核態勢の見直し」(Nuclear Posture ReviewNPR)を発表した。

 米国の従来の核戦略から大きく転換する内容で、核拡散防止条約(Non-Proliferation TreatyNPT)を遵守する非核保有国に対しては、核兵器を使用しないことを宣言した。

 ただしバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は、国連決議を軽視し核開発を続けているイランや北朝鮮のような国は核攻撃の対象から除外しないと強くけん制した。

■核先制使用の選択肢は残す

 また今回のNPRでオバマ政権は、新たな核兵器の開発や核実験を中止し、代わりに現在保有する通常兵器の「近代化」に大規模な予算を確保する方針も示した。さらに核兵器の使用は制限する一方で、生物化学兵器による米国への攻撃に対しては「通常の軍事的報復で徹底的に対処する」とした。

 米国は過去、「核の先制使用」の可能性を否定したことはなく、オバマ政権内でも主張が分かれていた。核の保有目的については今回の新方針でも、ほかの核保有国やテロリスト集団による核攻撃に対する抑止力に限定することを明示すべきだという軍縮派の主張に同調するには至らず、最終的に政権は核先制使用の選択肢を残した。ロバート・ゲーツ(Robert Gates)国防長官は、NPRはイランや北朝鮮のように国連の決定に従わない国に対する断固たるメッセージだと語った。

 米議会周辺は右派も左派も今回のNPRに批判的だ。タカ派はオバマ政権が米国の軍事力を弱体化させていると非難し、リベラル派はさらに思い切った大幅な軍縮を求めている。(c)AFP/Dan De Luce